BtoB向けECサイトの作り方 | ポイントと必要機能、ステップについて解説
公開 2025年06月13日

目次
「BtoBの取引をオンラインで効率よく行いたい」と思っているものの、どのようにECサイトを構築すればよいか分からないと感じていませんか?
BtoB向けECサイトはBtoCとは異なり、取引先企業ごとに異なるニーズや取引条件が絡んでくるので、その設計や構築が難しいと感じてしまいがちです。
BtoB向けECサイトの構築には、価格設定や取引条件、決済方法など、BtoCと比べて多くの特有の要件があります。
BtoB向けECサイトを成功させるためには、取引先のニーズに合わせて必要な機能を設計することが鍵となります。
この記事では、BtoB向けECサイトの構築に必要な具体的なステップや機能を詳細に解説します。効率的にBtoB取引を行うための方法を紹介します。
また、どうやってカートシステムを選び、どのようなデザインや運営方法にするべきかついてもご説明します。
この記事を読めば、スムーズにBtoB向けECサイトを構築でき、取引の効率化に一歩近づくはずです!
BtoB向けECサイトを作るときに重要なポイント
BtoB向けECサイトを作るときに、まず初めに考えるべきなのが、「ターゲット(想定利用者)」「商品の管理方法」「取引条件」の3つです。
これらが具体的になれば、おのずと必要な機能が絞り込まれていきます。
ターゲット(想定利用者)の明確化
BtoB向けECサイトを成功に導くためにまずやらなければいけないのが「ターゲット(想定利用者)の明確化」です。
BtoB向けECサイトでは、消費者向けのBtoCとは異なり、取引先ごとに異なるニーズや商習慣に合わせた機能やサービスが必要です。
そのため、ターゲットをしっかり決めておくことが、サイト構築の最初のステップです。
具体的には、使ってもらう取引先の
- 取り扱う商品の理解度
- 注文フロー
- どんな情報をサイトから知りたいか
- どんな状況で発注するか
についてイメージを固めておくと、BtoB向けECサイトは作りやすくなります。
また、今後取引先を増やしていく上で、サイトからの新規登録を受け付けるかどうかは決めておきましょう。
既存の取引先とだけやりとりするためのサイトなのか、それとも広く自社を知ってもらいネット経由でお客さんを増やしていきたいのかでは、サイトのデザインやつくりが変わってくるからです。
商品の管理方法を見直す
BtoB取引では、商品に対するカスタマイズや仕様変更が求められることも多く、商品バリエーションの管理が重要です。
たとえば、特定の部品が必要な場合、商品の仕様(サイズ、カラー、材質など)を細かく選択できるようにする必要があるかもしれません。
これには、バリエーションごとに在庫を管理し、オプションやカスタマイズの設定を簡単に行えるシステムが必要です。
もしカスタムの内容が取引先ごとに全く違うような状態だと、システムに登録するのに膨大な手間がかかる可能性もあります。
ある程度システム化できるように、商品の管理方法を見直しておくと、スムーズにECサイトによる運用に移行できます。
取引条件など自社特有のサービスの確認
BtoB取引では、取引先ごとに異なる価格設定が求められます。
よくあるのが、A社は上代の60%の価格、B社は80%の価格というようにお客さんによって卸価格が異なるパターンです。
大口注文や長期的な契約に基づく特別価格が適用されることがあるためです。
このため、ECサイトにおいては、各お客さんに個別に価格を設定できる柔軟な価格管理機能が求められます。
また、このときに大切なのが、別のお客さん同士で価格が見られないようにする機能です。
商品ページにお客さんごとの価格が表示されるようにすることで、取引先企業との信頼を損なわずに運用していくことができます。
BtoB向けECサイトに必要な主要機能
これらのポイントを押さえた上で、BtoB向けECサイトにはどのような機能が必要なのでしょうか
受注・納期管理機能
BtoB向けECサイトでは、受注を自動化することで、注文の入力ミスや手間を減らすことができます。
お客さんがオンラインで注文を行うと、その情報が自動的にシステムに反映され、受注処理がスムーズに進行します。
これにより、手動で注文内容を入力する必要がなくなり、作業時間を削減することができます。
また、受注内容に基づいて、必要な在庫や発注元に自動で通知が送られる仕組みを構築することで、ミスや遅延を防ぎ、効率的な受注処理が可能になります。
複数の支払い方法と請求書機能
BtoB向けECサイトでは、お客さんが自社のニーズに合わせた支払い方法を選択できるようにすることが重要です。
法人取引では、クレジットカード、銀行振込、掛け払い(請求書払い)など、様々な支払い手段が使われます。
これらの支払い方法をECサイトに組み込むことで、お客さんが利用しやすい支払い手段を選べるようにすることができます。
- クレジットカード: 決済が即時に完了するため、特に小規模な取引や単発の購入に適しています。
- 銀行振込: 法人の多くが利用する一般的な支払い方法で、特に大きな金額の取引においては安全性と信頼性が重視されます。
- 掛け払い(請求書払い): 多くのBtoB取引では、商品の納品後に支払いを行う後払いが選ばれます。支払い期限(たとえば30日、60日後)を設定できると、大口お客さんとの取引が円滑になります。
見積もり機能
BtoB向けECサイトでは、お客さんが自分で見積もりをリクエストできる機能を提供することが大切です。
これにより、見積もり依頼がスムーズに行われ、企業側もお客さんのニーズを正確に把握しやすくなります。
たとえば、商品ページで「見積もり依頼」ボタンを設置し、お客さんが必要な商品や数量、配送先などの情報を入力することで、自動的に見積もりが作成される。
このような機能があればサイトをより便利に使ってもらえます。
価格の柔軟な設定
BtoB向けECサイトでは、お客さんごとに個別の価格設定を行うことが多く、お客さんに合わせた特別価格を提供することが求められます。
たとえば、企業ごとにボリュームディスカウントや長期契約割引、特定の条件に基づく割引を設定することができます。
お客さん別価格設定により、企業は取引先ごとのニーズに合わせた価格を提供し、より良い取引関係を築くことができます。
たとえば、大口のお客さんには割引を適用した価格を設定し、小規模な取引先には通常価格を設定することが可能です。
これにより、取引先に応じた最適な価格を提供することができ、お客さん満足度が向上します。
また、BtoB取引では、購入する商品の数量が増えることで単価が下がる「ボリュームディスカウント」が一般的です。
この仕組みをECサイトに組み込むことで、一括でたくさんの商品を買ってもらうことに繋がります。
取引の規模を拡大するにはぜひ取り入れたい機能ですね。
倉庫管理システム(WMS)との連携
WMSとの連携の最大の利点の一つは、在庫情報のリアルタイム管理です。
BtoB向けECサイトでは、複数の企業が異なる商品を購入するため、在庫の正確な把握が非常に重要です。
WMSと連携することで、商品の入出庫状況、在庫数量、保管場所などを即時に把握することができ、サイト上で最新の在庫状況をお客さんに反映させることが可能になります。
これにより、お客さんは注文前に在庫の確認を行うことができ、注文後には納期通りに商品を受け取ることができます。また、在庫切れや欠品を事前に防ぐことができ、お客さんの期待を裏切ることなくスムーズな取引が進行します。
BtoB向けECサイトとWMSの連携は、在庫管理、受注処理、出荷作業、納期管理など、さまざまな業務プロセスを効率化するための重要な機能です。
ECサイト構築のステップ
ECサイトの構築において最も重要なステップの一つが「カートシステム選定」です。
カートシステム選定で最初に考慮すべきことは、BtoBの取引に対応しているかどうかです。
BtoB取引はBtoCとは異なる点が多く、BtoC向けのカートシステムでは対応できない点が多くあります。
BtoB向けのカートシステムを比べる際には、費用面や自社に必要な機能があるかどうかをチェックします。
また、ECサイトを構築した後にトラブルや質問が発生することがあるため、プラットフォームのサポート体制は非常に重要です。
選んだプラットフォームが提供するサポート(例えば、メール、電話、チャットサポートなど)の内容や対応速度も確認しておきましょう。
デザインとUIを考える
BtoB向けECサイトにおける「デザインとUI(ユーザーインターフェース)」は、ユーザーがサイトを訪れた際の第一印象を決定づける重要な要素です。
デザインが良ければ、ユーザーの購買意欲を高め、コンバージョン率の向上にも繋がります。
ただし、BtoBの場合には美しいサイトであるほどよいというものでもありません。
特にBtoCのサイトを別で運用している会社の場合、BtoBのサイトが業務用であることが一目で分かるように差別化することも必要です。
また、注文がPCとスマートフォンどちらからより多く来るかを把握しておくことも大切です。
一般的に、BtoCのECサイトではスマホからの注文が近年増えている傾向にあります。
しかし、BtoBの場合は業種によっては、まだまだPCからの注文が圧倒的であるケースもあります。
外部システムと連携
倉庫管理やお客さん管理のために外部システムを使っている場合は、連携のための作業が必要になる場合があります。
多くのカートシステムは、主要な外部システムとの連携をサポートしています。
ここを予め確認しておくかどうかで、必要な作業や費用が大きく変わってくることもあります。
もしカートシステムと外部システムが直接連携できない場合は、csvでデータを取り出して加工したり、RPAを導入することで解決できることもあります。
サイト運営とメンテナンス
ECサイトの構築が完了した後、最も重要なのはその後の運営とメンテナンスです。ECサイトは一度作成したら終わりではなく、日々の運営や定期的なメンテナンスを行うことで、継続的に高いパフォーマンスを維持することができます。運営とメンテナンスは、お客さん体験を向上させ、売上を安定的に伸ばすために不可欠な作業です。
ECサイトの運営において、もっとも大切なのがコンテンツの更新です。
商品情報、価格、在庫の状況など、常に最新の情報を反映させることが必要です。
もしもお客さんが古い情報に基づいて購入しようとした場合、信頼を失う可能性もあります。
また、サイト内で特集を組んだり、バナーを入れ替えて売れ筋商品を目立たせたりといった施策も効果的です。
基本的にはリピーターが多くなりがちなBtoBの取引ですが、新しい取引商品の開拓に繋がるなどお客さんコミュニケーションの入口になる可能性があります。
また、情報が古すぎるサイトは、購入や問い合わせをしても返事が返ってこないのではとお客さんを不安にさせてしまうことがあります。
「サイトが動いている感」を出すことで、お客さんが安心して利用できるサイトを作ることができます。
まとめ
BtoB向けECサイトの作り方について、ポイントと必要機能、ステップをご紹介しました。
システムを導入してから足りない機能に気づくと、大幅な手戻りと無駄な費用が発生してしまいます。
そうならないためには、想定利用者や自社の取引のやり方などを見直して、必要な機能を予め考えておくことが大切です。
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