EC業務効率化の課題と解決策──受注から在庫・出荷までをスムーズに
公開 2025年09月05日

目次
EC業務効率化の課題とは
EC市場は右肩上がりに拡大を続けています。
その一方で、多くの事業者の参入により、競争は激化しています。
このような状況で売上を伸ばすには、限られた人員で競合に負けない販売施策によって、顧客に選ばれる理由を作ることが欠かせません。
ところが現場からは、こんな声がよく聞こえてきます。
「毎日、受注・出荷や在庫更新の作業で追われてしまう」
「EC一元管理システムを入れても、自社独自ルールのため結局手作業が残る…」
「キャンペーン実施のたびに慌ただしく、肝心の企画を考える時間がない」
これが、EC運営の現場が直面するリアルな課題です。
気づけば担当者の時間の大半が“単純作業”に費やされ、本来やるべき販促やサイト改善に手が回らない…。
この状況をどう解決していけばいいのでしょうか。
これまで多くのEC運用を支援してきた経験から、代表的な課題と解決策をご紹介します。
EC業務効率化の解決策
受注処理──午前中が消える問題
【課題】
モールやカートから受注データを落とし、Excelで加工して販売システムに入力。
システム側で在庫引き当てや納期の確認をしてから、ECシステムを更新する。
気が付けば「これだけで午前中が終わってしまう」という声も珍しくありません。
入力ミスが出れば、修正や顧客対応にさらに時間がかかります。
【解決策】
受注データの取得から決済照合、システム登録までを自動化する仕組みを取り入れると、処理スピードと正確性が大幅に向上します。
RPAを活用すれば、人が「ダウンロード→加工→入力」と繰り返していた作業を自動化。担当者の作業は確認のみになります。
【改善結果】
午前中を費やしていた受注処理が、30分ほどの結果確認に短縮。
手入力がなくなったので、ミス防止のチェック作業も不要になりました。
空いた時間は顧客対応やキャンペーン企画に時間をかけ、顧客満足度の向上や売上アップに取り組めるようになりました。
在庫管理──システムでは埋まらない“すき間”
【課題】
EC一元管理システムを導入していても、こんな場面は残っていませんか?
- 複数倉庫の在庫を取りまとめる必要がある
- 特定の取引先向けに在庫を取り置きしている
- 仕入先の在庫データを加工してからECに展開している
結局「最後は人が手で直すしかない」という現場も意外と多いのです。
【解決策】
RPAを使えば、在庫データの集約や在庫計算も含めてECの在庫反映を自動化できます。
「在庫が発注点を下回ったら通知メール」といった仕組みを作り、確認する手間を省くことも可能です。
システムの“すき間”を埋めることで、欠品や過剰在庫のリスクを減らせます。
【改善結果】
在庫更新作業が不要になり、決まった時間に自動で在庫が更新されるようになりました。
在庫の変動が激しい商品は欠品の不安がありましたが、在庫更新の頻度を上げることで解消。
発注が必要なタイミングで通知が来るので、在庫残数の見回りも不要です。
その分、在庫分析や売上予測など、EC販売戦略に時間を使えるようになりました。
出荷──セールで急な受注増加に手一杯
【課題】
出荷データを倉庫システムや配送システムに登録。
ECシステムに送り状番号を反映して出荷完了に更新し、発送連絡。
この一連の作業がセールなど繁忙期には膨大になり、残業が続く原因に。
【解決策】
RPAで受注データから出荷データを自動で作成。
配送システムへの登録やECカートの出荷完了処理まで自動化できます。
担当者は確認するだけ。
セールなどで受注が増加してもスムーズに出荷が回り、安定した体制を維持できます。
【改善結果】
注文件数が多くなっても安定した出荷業務が可能になりました。
処理しきれずに出荷が遅れることもなくなり、顧客満足度も向上しています。
出荷の品質を維持しながら、ギフトなどのサービス多様化に取り組む余力ができました。
メリット
どの課題に対しても共通して下記のメリットがあります。
- 作業時間が減る:単純作業から解放され、本来の業務に集中できる
- ミスが減る:入力や更新漏れといった手作業によるミスを防げる
- スピードが上がる:受注~出荷がスムーズに進み、顧客満足度も向上
- 柔軟に動ける:急な注文増加や市場の変化にも対応しやすくなる
- 売上向上につながる:空いた時間を企画・マーケティングに活かせる
効率化のヒント
まずは業務を棚卸しして、フローを整理
曖昧なフローのままでは効率化できません。
どこに手間がかかるかを洗い出すのが第一歩です。
小さな一歩から始める
一気にすべて自動化する必要はありません。
受注データの取り込みや在庫更新など、よく発生する作業から取り組むのがおすすめです。
業務規模によりエクセルのフォーマットやマクロで工数を減らすことも検討しましょう。
システム連携との住み分けを意識する
EC一元管理システムやAPI連携でカバーできる部分はそちらに任せ、手作業が残る部分をRPAで自動化するのが現実的です。
まとめ
EC業務には、受注処理・在庫管理・出荷・サイト更新・キャンペーン対応など、多くの定型作業があります。
人手だけで回すのは、時間もコストもかかり、ミスや属人化のリスクも避けられません。
大切なのは「課題ごとに最適な仕組みを導入すること」。
その中でRPAは“単純作業を自動化する手段の一つ”として有効に働きます。
効率化で生まれた時間と余力をどう活かすか。
EC業務効率化は単なる省力化ではなく、単純作業に追われないフロー作りです。
それが、成長のための本当の投資になります。