酒販業界の受発注DXとは?Bカート×RPA活用法を解説
公開 2026年08月25日
目次
酒販業界では、飲食店や小売店など多くの取引先から、毎日いろんな注文が飛び込んできます。
しかも注文方法はWebだけじゃありません。FAX、電話、メール……複数の方法で注文を受け付けて、担当者が中身を確認しながら販売管理システムへ手入力している、という会社も多いのではないでしょうか。
さらに酒販業界ならではの事情として、同じ商品でも「1本」「6本入り」「12本入り」と荷姿が違ったり、得意先によって値段が変わったりします。
つまり受注業務をデジタル化するときは、「FAXをWeb注文に置き換えればOK」という単純な話では済みません。商品や取引条件をどう管理するか、注文後に基幹システムへどう反映させるかまで考える必要があります。
今回は、酒販業界の受発注業務が抱えがちな課題を整理しつつ、BtoB EC・Web受発注システム「Bカート」とRPAを組み合わせると、どんな効率化ができるのかという話をしていきます。
この記事でわかること
- FAX・電話・メールが混在する受注業務が抱えがちな課題
- ケース・バラといった荷姿違い、得意先別価格をBカートでどう管理するか
- FAXを残しながらでも受注をデジタル化できる理由(AI-OCRの活用)
- Bカートと既存の販売管理・基幹システムをRPAでつなぐ方法
- 酒類卸A社を例にした導入前後の業務フロー比較
酒販業界の受発注、何が大変なのか
まず前提として、酒販業界には独特の商習慣や商品特性があります。
国土交通省がまとめた「荷主と運送事業者の協力による取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン(加工食品、飲料・酒物流編)」でも、短いリードタイム、少量・多頻度の納品、商品規格の多さなどが課題として挙げられています。
さらに同資料では、「FAX発注が浸透している等、業務の一部で効率化・デジタル化が進んでいない」という課題も示されています。
これは物流だけの話ではなく、その手前にある受注処理にもそのまま関係してきます。
FAX・電話・メールがバラバラに混在している
飲食店や小売店との長い付き合いの中では、昔からのFAXや電話注文がそのまま残っていることがあります。
ある取引先はFAX、別の取引先はメール、Web注文に切り替えた取引先はECサイトから……という具合に、入口がバラバラなんですよね。
注文方法が複数あると、受注担当者はそのひとつひとつを確認して、必要な情報を拾い出してから社内システムに登録しなくてはいけません。
注文数が増えるほど、こうしたリスクも一緒に増えていきます。
- FAXの見落とし
- 転記ミス
- 電話で聞いた数量の聞き間違い
- 注文書の確認漏れ
- 二重入力
受発注DXを考えるとき、最初にぶつかるテーマがまさにこの「注文の入口をどう整理するか」です。
ケース、バラ、容量違い――酒類ならではの商品管理のクセ
酒類卸のBtoB受注でとくに厄介なのが、商品の「売り方」です。
同じワインひとつとっても、
- 750mlを1本
- 750mlを6本入りケースで
- 750mlを12本入りケースで
- 容量違いの商品をケースでまとめて
と、売り方がいくつもあります。
ビールや清涼飲料水でも「1本・1缶」と「1ケース」で注文単位がまったく違いますよね。
BtoCのECサイトなら消費者が商品を見ながら1点ずつ買うことが多いですが、BtoBでは「この品番を3ケース」といった発注も頻繁に発生します。
だからこそ商品コード、JANコード、入数、単位あたりをきちんと整理しておくことが大事になってきます。
Bカートでは、商品セットごとに品番、JANコード、入数、単価、在庫などの商品情報を設定できます。
たとえば「ワインA 750ml 12本入」という販売単位をあらかじめ用意しておけば、取引先は「3ケース」と注文するだけ。わざわざ備考欄に「12本入りを3ケース」と書かなくて済みます。
発注方法そのものを型にはめられるのは、Web受注に切り替える大きなメリットのひとつです。
得意先によって値段が違う問題
BtoB取引では、すべての取引先に同じ値段で売っているとは限りません。
- 一般の飲食店向け価格
- 大口取引先向け価格
- ホテル・旅館向け価格
- チェーン店との契約価格
といったように、取引条件によって価格が変わることがあります。
これまでの電話やFAX受注では、担当者が得意先を確認して、価格表や販売管理システムを見ながら単価を確認しているケースもあるでしょう。
この作業を人に頼りきってしまうと、「あの担当者じゃないと値段がわからない」といった属人化にもつながります。
Bカートでは、価格グループごとの掛率に加え、グループごとの個別価格や会員ごとの特別価格を設定できます。
取引先が自分のアカウントでログインした時点で、その取引先に適用される価格が表示されれば、注文を受けてから担当者が価格を確認する工程そのものを減らせます。
受注後の作業を自動化するだけじゃなく、そもそも間違いが起きにくい注文の仕組みを作っておくことも、受発注DXの大事なポイントです。
FAXを全部なくさなくても、デジタル化はできる
Web受注に移行するときによく壁になるのが、「取引先全員がすぐWeb注文に移れるわけじゃない」という現実です。
長年FAXで注文してきた取引先に、ある日いきなり「来月からWebでお願いします」と言うのは、ハードルが高いこともありますよね。
そこで、こんな感じで段階的に進める手もあります。
- 新規の取引先はWeb注文からスタート
- 移行できそうな既存取引先は順次Webへ
- FAXがいい取引先は当面そのまま継続
現在のBカートには、FAXやメールで届いた注文書のPDF・画像を読み取り、受注登録を支援する公式AI-OCRが用意されています。
注文書の内容をBカート上の会員や配送先、商品などの情報と照合しながら受注データ化できるため、FAX注文についてもBカート上で扱いやすくなります。
つまり「FAXを完全になくしてからDXに着手する」のではなく、既存のやり方を一部残しながら受注情報からデジタル化していく、という方法もあります。
Bカートに注文が入れば、それで受発注DXは終わり?
ここまでは「注文を受けるまで」の話でした。
でも実際の業務を考えると、Bカートに注文が入っただけでは終わらない会社も多いはずです。
たとえばこのあと、こんな処理が必要になる場合があります。
- Bカートの受注データを確認する
- 社内の商品コードに変換する
- 販売管理・基幹システムに受注を登録する
- 在庫を確認する
- 出荷指示を作成する
Bカートを導入してFAXや電話からの入力作業が減っても、担当者がBカートの画面を見ながら別のシステムに手で打ち直しているなら、社内の手作業はまだ残ったままです。
ここで考えたいのが、Bカートと社内システムの連携です。
そもそも商品コードがシステムごとに違う
システム連携でつまずきがちなのが商品コードです。
同じ商品なのに、こんな感じでシステムごとにコードがバラバラだったりします。
- Bカートの商品コード:WINE-A-12
- JANコード:490XXXXXXXXX
- 販売管理システムの商品コード:A00125
しかもBカートでは「12本入り1ケース」をひとつの販売単位として扱っていても、販売管理システムでは「1本」単位で在庫や売上を管理している、ということもあります。
この場合、
Bカート「ワインA 12本入 × 3ケース」
↓
販売管理システム「ワインA × 36本」
という変換が必要になってきます。
ただ注文データをコピーするだけではなく、
- Bカートの商品コードから社内商品コードを特定する
- 1ケースの入数を確認する
- ケース数を本数に換算する
- 販売管理システムに登録する
という処理が挟まります。
酒販業界の受発注DXでは、こうした「システム間の商品マスタや単位の違い」をどう吸収するかも意外と大きなポイントです。
そこでRPAの出番
BカートにはCSVによるデータ連携に加え、APIやWebhookなど、外部システムとつなぐ仕組みが用意されています。
連携先の販売管理・基幹システムにもAPIがあるなら、まずはAPIを使ったシステム連携を検討するのがよいでしょう。
とはいえ現場では、長年使ってきた販売管理システムやWindowsアプリなど、APIでの連携が難しいシステムも珍しくありません。
「システムを丸ごと入れ替えるほどではないけど、毎日の入力作業だけは減らしたい」
そんなときの選択肢がRPAです。
たとえば、こんな一連の流れをRPAに任せることができます。
Bカートから受注データを取得
↓
商品コード変換表と照合
↓
ケース数を本数に換算
↓
販売管理システムを起動
↓
得意先・商品・数量・単価を入力
↓
登録結果を記録
Bカートの中だけで完結する処理まで、無理にRPAに持たせる必要はありません。
注文を受ける仕組みや商品・取引条件の管理はBカート、既存システムへの定型入力やファイル操作はRPAというように、得意分野で役割分担させるのがポイントです。
ケーススタディ:酒類卸A社の場合
ここからは、架空の酒類卸A社を例に考えてみましょう。
A社は飲食店やホテルなど約200社と取引していて、FAX、電話、メールで注文を受けています。
受注担当者は届いた注文書を見て商品コードを検索し、「ワインAを3ケース」と注文されれば商品マスタで1ケースの入数を調べて、販売管理システムへ36本として入力。
さらに得意先ごとに価格が違うので、単価も確認してから登録します。
この業務を、BカートとRPAで見直してみます。
STEP1 Webで注文できる取引先はBカートへ
Web注文に移行できる取引先には、Bカートのアカウントを発行します。
取引先は自分向けの価格を見ながら、「1本」「12本入りケース」といった登録済みの販売単位から選んで注文します。
これでA社の担当者がFAXを見ながら商品や数量を入力する作業を減らせます。
STEP2 FAX注文もBカートに集める
すぐにWebへ切り替えられない取引先はFAX注文を続けつつ、届いた注文書をBカートのAI-OCRで読み取り、会員・配送先・商品などの情報と照合して受注データ化します。
WebとFAXで入口は違っても、その先の受注情報をBカート側へ集約しやすくなります。
STEP3 RPAが販売管理システムに登録する
Bカートに登録された注文をRPAが処理します。
「12本入りワインを3ケース」なら、RPAから商品コード変換表や入数マスタを参照して販売管理システム側の商品コードを特定し、必要なら「3ケース→36本」に数量を変換します。
その後、得意先・商品コード・数量などを販売管理システムへ入力します。
担当者はすべての注文を入力するのではなく、商品コードを特定できなかった注文や、通常とは異なる条件の注文といった「例外」を中心に確認します。
Before / After
これまで
FAX・電話・メール
↓
担当者が注文内容を確認
↓
商品・入数・得意先価格を確認
↓
販売管理システムへ手入力
見直したあと
Web注文 → Bカート
FAX注文 → AI-OCR → Bカート
↓
RPA
↓
商品コード・数量変換
↓
販売管理システム
大事なのは「人の仕事を全部なくすこと」ではありません。
入力や転記のようにルール化できる作業はシステムに任せて、取引先からの相談、欠品時の調整、イレギュラーな注文への対応など、人の判断が必要な仕事に時間を使えるようにすることが目的です。
受発注DXは「注文画面」だけの話じゃない
酒販業界には、FAXや電話注文、ケース・バラといった単位の違い、得意先ごとの価格、商品コードのバラつきなど、いろんな要素が受注業務に絡んできます。
だからこそ、新しい受注システムを入れるだけじゃなく、
- どうやって注文を受けるか
- 商品や価格をどこで管理するか
- 受注後にどのシステムへ渡すか
まで含めてセットで考えることが大事です。
Bカートで注文の入口と商品・取引条件を整理して、残った定型作業はRPAやAPI連携で自動化する。
それぞれの得意分野をうまく組み合わせれば、既存の販売管理システムを丸ごと入れ替えなくても、少しずつ受発注業務を見直していけます。
まずは今の受注業務を「注文受付」「内容確認」「商品・価格確認」「基幹システム登録」「在庫・出荷」といった工程に分けてみて、どこに手作業や二重入力が残っているか洗い出すところから始めてみませんか。
よくある質問
Q. 取引先が全員Web注文に移行できなくても、Bカートは導入できますか?
できます。Web注文に移行できる取引先はBカートから直接注文してもらい、まだ移行できない取引先はFAXを継続しつつ、BカートのAI-OCRを利用して注文書を受注データ化するといった併用が考えられます。無理に一斉移行する必要はありません。
Q. 「1本」「6本入り」「12本入り」のような荷姿違いは、Bカート上でどう管理しますか?
Bカートでは商品セットごとに品番、JANコード、入数、単価、在庫などを設定できます。「ワインA 750ml 12本入」のように販売単位をあらかじめ設定しておけば、取引先がケース単位で発注しやすい商品構成にできます。
Q. 得意先ごとに価格が違う場合も対応できますか?
対応できます。価格グループによる掛率やグループごとの個別価格、会員ごとの特別価格などを設定できるため、取引条件に応じて価格を出し分けられます。
Q. Bカートと既存の販売管理システムはどうやって連携しますか?
連携先システムにAPIが用意されている場合は、まずAPI連携を検討するのがおすすめです。APIでの連携が難しいシステムやWindowsアプリケーションについては、RPAを使ってBカートの受注データを取得し、商品コード変換や数量換算を行ったうえで、既存システムへ自動入力する方法もあります。
Q. 商品コードやケース数の換算(例:3ケース→36本)も自動化できますか?
できます。RPAから商品コード変換表や入数マスタを参照する仕組みを用意しておけば、「Bカートの商品コード→社内商品コード」「ケース数→本数」といった変換を行ったうえで、販売管理システムへ登録する一連の処理を自動化できます。
Bカートの導入や商品・価格設定、既存の販売管理システムとのRPA連携についてお困りの場合は、ソフトコムまでお気軽にご相談ください。
現在の受注業務を確認したうえで、Bカートの標準機能で対応する部分、APIなどで連携する部分、RPAで自動化する部分を整理し、業務に合った受発注DXをご提案します。
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