AI時代の業務自動化〈第1回〉RPAの現在地とAIとの違い

生成AIの急速な普及により、企業の業務効率化を取り巻く環境は大きく変わり始めています。

文章の作成や要約、画像や帳票の読み取りなど、これまでは人が行っていた作業をAIが支援する場面も増えてきました。

こうした変化を見て、「これからはAIがあれば、RPAは必要なくなるのではないか」「今からRPAを導入しても、すぐに古くなってしまうのではないか」と感じている企業担当者の方もいらっしゃるかもしれません。

確かに、AIの進化によって業務自動化の選択肢は広がっています。しかし、RPAとAIは同じものではありません。それぞれ得意なことが異なるため、AIが登場したからといって、RPAがすぐに不要になるわけではありません。

第1回では、RPAの基本を振り返りながら、AIとの違いや、AI時代におけるRPAの現在地について考えます。

そもそもRPAとは?

RPAは「Robotic Process Automation」の略で、パソコン上で人が行っている操作を自動化する仕組みです。

ここでいうロボットは、工場などで動く機械ではありません。パソコンの中で動き、あらかじめ設定された手順に沿って処理を進めるソフトウェアロボットを指します。

例えば、Excelの情報を業務システムへ入力したり、Webサイトからデータをダウンロードしたり、複数のファイルを集計して帳票を作成したりできます。処理結果をメールで送信する、ファイル名を決められたルールで変更する、といった作業もRPAが得意とする分野です。

こうした作業は、一つひとつを見ると難しいものではありません。

しかし、毎日、毎週、毎月と繰り返していると、担当者にとって大きな負担になります。また、単純な入力や転記であっても、件数が増えるほど入力ミスや確認漏れが起きやすくなります。

RPAは、このような手順と条件が明確な定型業務を、速く、正確に、繰り返し処理することを得意としています。

AIとRPAは何が違うのか

RPAとAIは、どちらも業務効率化に使われますが、担う役割は異なります。

簡単に表現すると、RPAは「決められた手順を実行すること」が得意で、AIは「内容を読み取り、考え、候補を出すこと」が得意です。

例えば、請求書を会計システムへ登録する業務を考えてみましょう。

RPAは、指定されたフォルダを開き、ファイルを取得し、会計システムの決められた項目へ情報を入力するといった操作を正確に実行できます。

一方、AIは、請求書に記載された会社名や金額を読み取ったり、摘要の内容から勘定科目の候補を出したりすることができます。

両者の違いを整理すると、次のようになります。

項目 RPA AI
得意なこと 決められた操作の反復 認識、要約、分類、推測、文章生成
処理の特徴 同じ条件なら同じ結果になりやすい 入力内容によって結果が変わることがある
向いている業務 データ入力、転記、集計などの定型業務 文章や画像の理解、判断の支援
注意点 画面や操作手順の変更に影響を受ける 誤った回答や判定をする可能性がある

つまり、AIがRPAの代わりになるというよりも、これまでRPAだけでは扱いにくかった部分をAIが補えるようになってきた、と考えるほうが実態に近いでしょう。

AIだけですべてを自動化できるわけではない

生成AIは、文章の作成や要約、分類などを柔軟に行えます。

一方、企業の業務には、AIにその都度考えさせる必要がない作業も数多くあります。

例えば、ExcelのA列にある値を業務システムの指定欄へ入力する作業や、毎月1日に決められた帳票を出力する作業です。特定の件名を含むメールの添付ファイルを保存する、出力されたCSVファイルを指定フォルダへ移動する、といった処理も同様です。

このような業務では、柔軟な判断よりも、決められた処理を毎回同じように実行することが求められます。

処理内容が明確に決まっているのであれば、RPAのほうが結果を管理しやすく、安定した運用につなげやすい場合があります。

企業の業務では「記録」も重要

企業の業務自動化では、単に処理が完了すればよいわけではありません。どのように処理されたのかを、後から確認できることも重要です。

実行した日時や、使用したファイル、処理件数、条件分岐の結果、エラーが発生した場所などが記録されていれば、問題が起きたときに原因を調べやすくなります。

反対に、自動処理が途中で止まっていても、どこまで進んだのか分からなければ、担当者が最初から確認し直さなければなりません。

RPAでは、処理の流れをあらかじめ設計し、必要に応じて実行結果やエラー内容を記録できます。業務を安定して運用するうえでは、「自動で動くこと」と同じくらい、「問題が起きたときに確認できること」が大切です。

RPAは「手足」、AIは「頭脳」

RPAとAIの関係は、「手足」と「頭脳」に例えるとわかりやすくなります。

AIは、文章や画像の内容を理解し、分類したり、候補を考えたりする頭脳のような役割を担います。

RPAは、AIや人が決めた内容に従って、実際にシステムを操作する手足のような役割を担います。

例えば、受信メールを処理する業務では、まずAIがメール本文を読み取り、「問い合わせ」「注文」「見積依頼」などに分類します。その後、RPAが分類結果に応じて添付ファイルを保存し、管理表や業務システムへ情報を登録します。必要であれば、最後に担当者への通知も行います。

RPAだけでは、文章の意味を柔軟に判断することが難しい場合があります。

一方、AIだけでは、社内のさまざまなシステムを安定して操作したり、毎回同じルールで確実に処理したりするための仕組みが別途必要になります。

両者を組み合わせることで、自動化できる業務の範囲を広げられます。

ケーススタディ:注文書の受注登録を自動化する場合

ここでは、メールで届いた注文書を確認し、受注システムへ登録する業務を例に考えてみましょう。

従来は、担当者がメールの添付ファイルを開き、取引先名、商品名、数量、納期などを確認したうえで、受注システムへ一件ずつ入力していました。注文書の形式が取引先によって異なる場合は、単純な転記だけではなく、記載内容を読み取って判断する作業も必要です。

この業務をRPAだけで自動化しようとすると、注文書の形式ごとに読み取り位置や条件を細かく設定しなければなりません。取引先が使用する注文書の書式が変わるたびに、シナリオの修正が必要になることもあります。

そこで、注文書の読み取り部分をAIやAI-OCRに任せます。AIが会社名、商品名、数量、金額などを抽出し、その結果をRPAへ渡します。

RPAは、受け取った情報をもとに受注システムを起動し、決められた項目へ正確に入力します。登録後は、処理結果を管理表へ記録し、注文書を処理済みフォルダへ移動します。

一方で、商品名を特定できない場合や、注文金額が通常より大きい場合は、自動登録せずに担当者へ確認を求めます。

このように、内容を読み取る部分はAI、決められた操作を実行する部分はRPA、例外的な判断は人が担当することで、無理のない自動化を実現しやすくなります。

このケースでは、AIだけでもRPAだけでも、業務全体を安定して処理することは簡単ではありません。それぞれの得意分野を組み合わせることで、定型処理の効率化と、注文書の形式の違いに対する柔軟な対応を両立できます。

WinActorもAIと組み合わせて活用する時代へ

当社が取り扱っているRPAツール「WinActor」も、単純なパソコン操作の自動化だけに利用するものではなくなりつつあります。

AIやAI-OCRなどと組み合わせることで、文章や帳票の内容を読み取った後の登録処理や、判断結果に応じたシナリオの実行など、活用の幅を広げられます。

例えば、AIがメール本文から必要な情報を抽出し、その結果をWinActorが管理表へ登録する、といった使い方が考えられます。注文書をAI-OCRで読み取り、WinActorが受注システムへ入力することもできます。

また、AIが取引先名の表記ゆれを判断した後にWinActorが基幹システムを操作する、WinActorのエラー内容をAIが要約して担当者向けの報告文を作る、といった組み合わせも考えられます。

RPAの正確な実行力と、AIの柔軟な理解力を組み合わせることで、これまで人の確認が必要だった業務も、自動化の対象に含めやすくなります。

AI時代でもRPAの役割は残る

AIが進化しても、企業の業務から定型作業がすべてなくなるわけではありません。

決められた手順を正確に繰り返す処理や、既存の業務システムを操作する処理は、今後も必要です。

一方で、RPAの使われ方は変化していくでしょう。

これまでは、RPAだけで一連の業務を自動化しようとするケースが多くありました。今後は、AIが内容を理解し、その結果を受け取ったRPAが実際の処理を行うなど、複数の技術を組み合わせる形が増えていくと考えられます。

「RPAかAIか」という二者択一ではなく、業務のどの部分に、どの技術を使うのが適しているかを考えることが大切です。


次回は、最近注目されている「AIエージェント」について取り上げます。

AIエージェントがあれば、RPAを使わなくても単純作業を自動化できるのでしょうか。AIエージェントの特徴と、RPAとの違いを詳しく見ていきます。

※本記事は、AI推進担当 岡野が社内ナレッジをもとにして生成AIで作成しました。

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